- 集まれ!「ひしおもろみ」を知らない若者達
「ひしおも」は、つけすぎに注意
はっきり言って「ひしおもろみ」は、現代の若者に浸透していない。むしろ知らない人や聞いたことすらない人がほとんどだろう。かく言う私もその一人。実は授業で先生から手渡されるまで知らなかったのだ。
そこで私は、「ひしおもろみ」とは何なのかを調べてみた。「もろみ味噌」に分類される一群の商品は、「味噌もろみ」ではなく、醤油もろみに近似したものを最初から「もろみ」そのものを食べることを目的として造っているのが多い。醤油を造る時と同様の手法で、麦・大豆・米などから製造した麹を、醤油の時ほど多くない塩水に漬けて熟成させるのが基本形だ。近代では、食品工業的には醤油・塩・糖類などの調味料を入れた液体に漬け込む製法で造られることが多い。
そんな知識をふまえて私なりに「ひしおもろみ」について考えてみた。まず「ひしおもろみ」とは何なのか?わかりやすくいえば、「ひしおもろみ」のもろみは、誰もが知っている味噌のようなものと思ってほしい。しかし、使用してみると、味噌ではなく、味は醤油そのものだ。但し、使用する場合はつけすぎに注意を払って欲しい。味が塩辛いためにつけすぎたり、調味用に入れすぎたりすると、大変なことになってしまう(私がいう大変とは、辛すぎて喉が渇いてしまうことを指す)。
では、どのようにすればいいのか?若い人で「ひしおもろみ」を使って調理した人はまずいないと思われる。実は私だって使ったのは今回の授業が初めてなのだから…。前述したように「ひしおもろみ」は、沢山用いるととても辛くなってしまう。なのであまり入れすぎないのがポイントだ。私達Dチームが考えた「ロコモコ」は、「ひしおもろみ」をハンバーグの中に入れて調味するのではなく、玉ネギソースとして用いてみた(初めから入れすぎず、ソースの味を確認しつつ味見しながら足す方法をお薦めする)。
難しく考えず、食べたいものに使ってみる
先生から「ひしおもろみを使って料理提案とそのレシピを考えなさい」と言われたのだが、あれこれ悩んだのではなく、皆んながその日食べたかったのが「ロコモコ」だったというのが本当の理由。他チームは、「ひしおもろみ」には何が合うかと考えたかもしれないが、私達はシンプルに食べたいものにそれを合わせたのである。一般的には、醤油代わりに使用するのがいいのだが、単純に欲するものに合わせてしまえばわかりやすいのかもしれない。私の「ひしおもろみ」を初めて見た時の感想は黒いどろっとしたもので、「なんだこれは?」と思ってしまった。当初は、正直美味しいのだろうかと疑ってはみたが、使っているうちにそれは私の偏見だったことがわかった。私と同世代の人達は、同じようなことを感じるのだろうが、私から言えることは「騙されたと思って使ってほしい」の一語に尽きること。使い方にもよるが、かなり面白く、新たな調味料の発見にも繋がる。百聞は一見にしかずの言葉にもあるように、私は試食販売することをお薦めしたい。「ひしおもろみ」を使ったものを食し、味を確認することで新たな挑戦意欲が湧いてくる_、特にグルメなら尚更だろう。私のように、知らないものから新たな使用方法が見つかり、具現化されていく。今は私達世代の若者にもその旨さを知ってほしいと思っている。
(文/大阪樟蔭女子大学 学芸学部 ライフプランニング学科 増田愛)