新儀有心京料理「明月記」 湯浅醤油と金山寺味噌 2010年9月1日
2010年8月31日
湯浅醤油(有) http://www.yuasasyouyu.co.jp
丸新本家 http://www.marushinhonke.com の新古です。
先日、知り合いからの紹介で、期間限定ですが湯浅醤油と金山時味噌を、メニューに使われるお店が取材にこられました。
新儀有心京料理「明月記」
兵庫県宝塚市雲雀丘山手2-10-11
http://www.meigetsu-hgc.co.jp/
「明月記」のお料理をご家庭へお届けする、弁当・仕出し宅配の「明月記 遊行亭」
http://www.meigetsu-hgc.co.jp/yugyotei
この遊行亭の方で、湯浅醤油「生一本黒豆」と「金山寺味噌」を使用する事が決まりました。
9月1日~10月末まで。
醤油は一部の仕出し料理の刺身醤油として、味噌はお弁当や仕出し等に使われるそうです。そのパンフレットがこちら。
秋の紀州の味覚を取り入れた期間限定パンフレットです。とても彩り豊かな、美味しそうなお弁当と仕出しです。
去る7月に遊行亭の料理長一行が取材に来られた時の記事は、同社の瓦版として、お弁当や仕出し料理を注文された方に配られるそうです。
それが、こちら。
その表紙に私達湯浅醤油の事が紹介されています。
その記事内容がこちら。
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旨いモン遊行紀行/2010年秋号
秋夢を彩る紀州の香りに誘われて、
日本料理の源流を見た
醤油の起源は湯浅にあり
「食文化にふれる旅」というお題目で日本料理の源流を探すと、
和歌山に「醤油」と「鰹節」の発祥の地があった!
<醤油の発祥が湯浅である事は結構有名な話>
鎌倉時代に覚心という高野山にいた僧侶が、源実朝の供養の為に中国に渡り、金山寺味噌の作り方を教えてもらったとか。その味噌から出るエキスが「たまり」で、実は醤油のルーツ。それを元に商業的に醤油を作り出したのが湯浅の人達だ。
1600年半ば頃に湯浅の漁師達によって商業醤油の作り方を全国に伝えたと言われている。
<旨い醤油にはこだわりがあった>
今回使用する湯浅醤油「生一本黒豆」と、「金山寺味噌」を作っている丸新本家の新古社長にいろいろ教えて頂いた。
「生一本黒豆」の原材料は丹波黒豆、小麦、塩、麹だけ。昔ながらの製法でじっくり2年間かけ、その深い味わいと香り豊かで芳醇な美味しい醤油が出来上がる。
醤油を仕込む大樽は最大33石入りで、一番古いのはなんと、江戸時代の物で180年物だ。酒屋、味噌屋と使われ醤油屋が最後に使う、時代を超えたリサイクルが当たり前に行われている。
その大樽いっぱいに入っているもろみは職人の手で適時に櫂入れをする。発酵が終わると特殊な布に包んで、時間をかけて液体を搾り出す。これが「生醤油」。
火入れをして出来た液体の上澄み液の部分が「醤油」。
オリが沈みドロッした下層の部分、ここが実は一番美味しいんだとか。
<ケツメイシで作る基本形の茶粥>
新古社長のお母さんが、金山寺味噌と醤油の美味しい食べ方を教えてくれた。和歌山の人にとって、金山寺味噌と言えば茶粥。その茶粥は家庭毎に味が違う。
今では焙じ茶で作る事が多いが、基本はハブ茶と聞いた。マメ科のエビスソウの「決明石」と書いてケツメイシと呼ぶ種がその正体。漢方薬の一つだ。
食べ方は千差満別温かい物、冷たい物、ドロドロさせるかサラサラか?小豆や芋を入れたりと。毎日食べる人もいるんだとか。
金山寺味噌の場合は茶粥に溶いていっしょにズズッとすする。作り方は裏表紙に紹介しているので、一度試してください。とても優しい味だ。
<花咲く鯖の炊いたん>
同時に作ってくれたのは、新古社長が大好きな「サバの炊いたん(和歌山弁)」。新鮮なサバを醤油と酒、みりん、梅干しを入れて炊く。炊き込むと、自然に花が咲いた様にプリプリの身が骨からはがれていく。子供の頃はよく食べていたそうだ。
<金山寺味噌は家庭で漬ける>
和歌山の味噌は、夏野菜がゴロゴロと入っているのが主流の食べる味噌だ。家庭で作るからこそ「たまり」も自由に使っているのだ。市販の醤油だけでなく、「たまり」もいっしょに使うと絶品だそうだ!
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裏表紙には和歌山ならではのレシピで、金山寺味噌と言えば、の「茶粥」を紹介しています。ちなみにレシピは母直伝です。
中面には他の和歌山の美味しいものの記事が載っています。柿の葉寿司、いんのこ餅、梅びしお、紀州うめたまごの4種。どれも取材に行かれたそうです。
ちなみにその記事はこちら。
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寿司の国紀州で、柿の葉寿司の深さに出会った
<寿司のルーツ?>
今回は、和歌山県農林水産部農林水産政策局食品流通課の段子さんにいろいろ郷土料理等ご紹介頂いた。
紀州の美味しい物を探していると、寿司の多さに気がつく。
鮎寿司、柿の葉寿司、こけら寿司、秋刀魚寿司・・・。寿司のルーツを探っていくと日本三大なれ寿司の一つである紀州のなれ寿司、近江のふな寿司に至ると言われている。
和歌山で寿司といえば、「早なれ」、「半なれ」、「本なれ」の種類がある。「早なれ」は普通の鯖の寿司。あせの葉で巻く事が多く、通常4~5日で食べる。柿の葉寿司も「早なれ」。「半なれ」は、半分なれてきて、ご飯に酸味が出るか出ないかの頃で、1ヶ月くらい保存したもの。
そして「本なれ」は完全になれた寿司の事。
酢は使わずにご飯自体を発酵させ、すっぱくなるまでおいておく。古い物では数年物があるそうだ。そんな中で今回は柿の葉寿司の事を聞いた。
地方により、いろんな葉で巻く押し寿司の一種。柿の葉、芭蕉、バレン、あせ、わさびの葉等、どれも香と風味が楽しめる。
柿の葉は、鏡餅に使う串柿の葉が一番いいそうだ。6~7月は新葉を、10月の秋祭りの頃は紅葉した葉を彩りに使う事もある。通常は青い葉を塩漬けで保存した物を使う。
鯖にはドコサヘキサエン酸等が多く含まれ、高血圧や老化防止に有効とされ、柿の葉は殺菌力があり、タンニンが多くビタミンCもレモンの20倍。
寿司飯を昆布で炊くとアルギン酸が含まれ、酢は消化活動が活発になる働きがある。長い歴史の中で培ってきた生活の智恵の結晶なのだ。
<柿の葉寿司作りに奮闘!>
岩出市生活研究グループの方に混じって大浦料理長が柿の葉寿司作りを手伝った。中に入れる魚は、30分程塩漬けした鯖を使う事が多い。
まず、寿司飯を握っておく。葉は根元を体側に持ち、葉表に鯖を置く。
その上に寿司飯をおき葉先を内側になる様に巻き、側面をキャラメル包みの様な感じで折り込んで、押 し寿司の箱にきれいに並べていく。
単純作業だが、大きさと形と葉脈の位置を揃えるのは、結構難しいそう。
箱の中で隙間なく並んだ寿司を見ると、葉脈が揃っていて、とてもキレイだ。「この筋を通すんです」との事。
米一升で80~100個位が目安。夏場は夜に押し箱に入れて一晩押して、翌日食べる。秋祭りの頃は2~3日かけてご近所皆でちょっとづつ食べるそうだ。
<亥の子祭は、宮中の行事だった?>
和歌山県の那賀振興局地域振興部農業振興課担い手グループの石倉満子さんからいんのこ餅の話を伺った。
旧暦の10月(亥の月)の最初の亥の日に行われて いる年中行事。
「亥の祭」「亥の日」等と呼ばれている。秋の収穫の労をねぎらう為の収穫休みの日に重箱に入れてご近所に配ったとされている。
その歴史は古代中国から取り入れられ、貞観年間には宮中行事として行われていたとか。やがて貴族や武士達に広がり、民間行事として定着していったとも言われている。
名前の由来は亥の日だから、芋餅(里芋が入っている)から、亥の多産にあやかる為とか諸説いろいろある。
いんのこ餅は餅米1に対し、新米1、旬の里芋2の割合いで一緒に炊く。あつあつの間に擂り粉木ですりつぶし、塩味の粒あんでくるんだもの。旬の里芋と新米の粘りがからみ、新小豆で作ったこのお餅は、冷めても固くならない。
当時の贅沢な料理の一つで、疲労回復にいいとされていた。郷愁を感じる味だそうだ。紀南地方にいくと、白いあんころ餅になる。昔はソフトボールくらいの大きさだったとか。
梅の里から万能調味料を
次に向かったのは、みなべ町。
よくご存知の南部梅林、南高梅、日本一の梅の産地だ。梅は中国では紀元前のころから酸味料として用いられ、塩と共に最古の調味料ともいわれている。
<南高梅の由来>
日本で梅の加工が始まったのは江戸時代の頃。本格的に梅製品の加工が始まったのは明治以降だとか。その当時から梅の栽培をしていた和歌山県南部川村(現みなべ町)で1902年とりわけ大きな梅の実がなる木を高田貞楠が見つけた(高田梅)。1950年に最高品種を選ぶ調査がみなべ町でスタート。
5年間の調査の中で最優良品種に選ばれたのが先の高田梅だ。
この調査に協力をした南部高校の先生や生徒に感謝の気持ちを込めて「南高梅」と命名された。
その味のバリエーションも素晴しい万能調味料なので、是非家庭にひとつおすすめだ。塩抜きしているので辛く無く、いろんな調味料、食材、調理方法に合うのだ。例えばマヨネーズと合わせると子供が好む味に、醤油や出汁とまぜれば、プロの味に。
<梅酢と梅びしお>
共に味付けをしていない、塩だけで漬けた白梅干が元。そのエキスが梅酢で、その実を加工したものが梅びしお。梅びしおの作り方は裏表紙に記載している。
もちろんそのままで梅肉の様にも使える。クリームソースの隠し味にも最適だ。梅酢も何にでも使える。鰺や鰯等の刺身にさっとくぐらせれば、臭みが消える。
焼き鳥の肉も少し漬け込むだけで味がぐんと良くなる。
<名脇役の梅>
梅料理をしていてわかった事があるとみなべ町梅料理研究会の岩本さん。梅はあくまで脇役。主役にはなりにくい。でも主役の旨味を最大限に引き出せる名脇役だ。
最近ではテレビでも紹介されているが、梅びしおの存在を知らない人が多いのが現実だ。普段は梅料理の普及に尽力をつくしているそうだ。
熊の古道の山奥で、純粋な味のたまごに会った
美味しい玉子があると聞き、御坊市の山奥に向かった。
紀州うめたまごの生産者の一人、岡養鶏場の岡さんを訪ねた。何故美味しいのか?エサに秘密があった。
先程もでてきた梅酢だ。ここでは、塩抜きをして鶏のエサに混ぜている。健康維持に欠かせないクエン酸やアミノ酸などの有機酸は人間にとって大切な物だ。と言う事は鶏にもいいはず。という考え方だ。元々夏ばてしている鶏に、梅酢を飲ませる風習があったそうだ。鶏が健康になると卵も美味しくなるというわけだ。
地元のケーキ屋さん達からは、大絶賛と聞いた。
カロリーが普通の卵より低く、葉酸値が高い。このエサを食べる事で、腸内の消化吸収率が上がり、
効率がよくなったからではと岡さん。
その味の特長を聞いてみた。臭みが少ない、雑味が無い、味に透明感がある、また味が濃いとよく言われるそうだ。
「一 言で言うなら純粋な味ですよ。」
わざわざ大阪から和歌山にこの卵を買いにくる方が結構いるそうだ。
おすすめは卵かけご飯。遊行亭では出汁巻き玉子でご提供。
いつもの味と比べてみるのも楽しみのひとつだ。
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良いものをどんどん取り入れていきたい。
美味しいものをもっと探求したいという遊行亭の大浦料理長の言葉に、業種は違うが向かう方向は同じだという事ですね。
私は、遠くて簡単に食べにいけませんが、お近くの人は是非一度お試しください。